抵当権
ケイマン諸島に登録されている船舶に対する抵当権の登録、譲渡、または解除は、ケイマン諸島の船籍登録部門に必要な書類を提出した直後に有効となります。
法体系は英国の法体系に基づき、最高上告裁判所は英国の枢密院司法委員会となります。
船舶をケイマン諸島に登録する際、船舶に関連する抵当権者の利益を登録するため抵当権に関する書類も同時に提出する必要があります。登録された抵当権に関する詳細を船籍登録部門が記録し、抵当に関する書類に登録日時を記入します。
抵当権は、登録日時によって優先順位付けされ、次のいずれかの形となります。
- 元本&利率 - 船籍登録部門は合意された元本と利率を記録します。
- 貸付勘定 - - 船籍登録部門は、期間内の特定の時点で支払われるべき抵当権の金額はその時点で口座に支払われるべき額であることを記録します。
船舶が差し押さえられた場合や没収された場合、抵当権者の利益は登録されたままとなり、該当する場合裁判所の命令の対象となります。
禁止事項
抵当権に関する書類に所有権の譲渡、船舶登録の解除、もしくは抵当権者本人の書面による事前の承認なく追加の抵当権を設定することに対する禁止事項が含まれている場合、CISRは登録時にそのような禁止事項を登記簿に記入し、抵当権者本人の書面による承認がない限り、もしくは裁判所から禁止事項を行う命令が出されない限り、禁止事項を行うことはありません。
抵当権の移転(英国の登記簿から別の英国の登記簿へ
船舶の登録は英国の登記簿(例えばイギリス)から別の英国の登記簿(例えばケイマン諸島)に移転でき、同じ所有権と抵当権に関する詳細を新しい英国の登記簿(ケイマン諸島)に記録できます。例えば、ロンドン港(イギリス)からジョージタウン港(ケイマン諸島)に移転した場合、所有者と抵当権の詳細がイギリスの登録が終了される前にケイマン諸島側で記録されます。このため、抵当権者が船舶の登録変更に同意しているという条件で、継続的な抵当権者保護が維持されます。
非課税
登録した抵当権の価値についてケイマン諸島に支払うべき税金は一切ありません。抵当権者(すなわち貸し手)は、抵当権を登録するために、ケイマン諸島で「資格を持つ個人、企業、法人」である必要はなく、ケイマン諸島に「事業所」を有している必要もありません。
保管場所
抵当権に関する書類は、以下のいずれかのオフィスで保管されます。
- CISR 本部(ケイマン諸島、ジョージタウン)
- CISR ヨーロッパ担当オフィス(イギリス、サウサンプトン)
- ケイマン諸島統括オフィス(イギリス、ロンドン)
- CISR アジア担当オフィス(シンガポール)
- CISR 代理オフィス(ギリシャ、アテネ)
- CISR 代理オフィス(日本、東京)
- CISR 代理オフィス(アメリカ、フォートローダーデール)
保管場所が本部かその他のオフィスかを問わず、抵当権は最初に預けられた日時に登記簿に登録され、CISRによって解除されるまで、抵当権はそのまま維持されます。
抵当権は船舶の登録の種類(無条件登録、仮登録、条件付き登録、建造中船舶の登録、傭船(裸傭船)登録)とは関係なく記録されます。
優先権通知
CISRは、優先権通知を記録するオプションを提供します。このオプションにより、優先権通知を発行する者は、優先権通知がCISRによって記録されてから最大30日の間に、抵当権を登録する意図を記録することができます。これにより、最初に優先権通知を発行した当事者が抵当権を登録する前に、後続の優先権通知や抵当権が対象の船舶に対して優先権を得ることを(30日間)妨げることができます。
ケイマン諸島以外で抵当権の取引が行われている場合、このオプションは特に役立ちます。また、このオプションにより、異なるタイムゾーンの貸し手は同日に抵当権を登録することなく、資金の貸出しができます。
2種類ある優先権通知書式、すなわち「Priority Notice in Respect of a Ship Intended to be Registered in the Cayman Islands」(ケイマン諸島に登録する船舶に関する優先権通知)または「Entry of Priority Notice」(優先権通知のエントリー:CISRにすでに登録されている船舶用)のいずれかを使用する必要があります。書式は「登録」のセクションで提供されています( 登録窓口)にお問い合わせください)。
優先権通知も、世界に7箇所ある抵当権保管場所のいずれかに保管されます。
無線証書
船舶の無線証書
無線証書の発行はCayman Islands Shipping Registry(CISR)の管轄ではなく、ケイマン諸島の情報通信技術局(Information & Communications Technology Authority:ICTA)の管轄となります。
無線呼出符号(コールサイン)はCISRによって割り当てられていますが、MMSI番号(海上移動業務識別コード)はICTAによって割り当てられています。無線装置の通信士には、装備されている装置または船舶に適した無線通信士証明書(Radio Operator's Certificate)を取得することが義務付けられています。
CISRは非常用位置指示無線標識装置(EPIRB)データベースを管理していません。
このため、船舶の所有者は、アメリカ海洋大気庁(NOAA:www.beaconregistration.noaa.gov)または イギリス、ファルマスの沿岸警備隊. のいずれかを通してEPIRBを登録する必要があります。いずれの機関もケイマン諸島の旗を掲揚する船舶のEPIRB登録情報を受け付けています。EPIRBの適切な登録をすることは船舶の所有者(または権限が与えらえた代理人)の責任となります。